R6.9.18 秋の議会 決算総括質問
〇経済・財政事情一般〇 令和5年度一般会計予算は「目黒を飛躍させる未来創造予算」と位置付けられ編成され、4回の補正予算を組み運営が為されてきた。歳入決算額は総計で1333億円余、同じく歳出決算額は1259億円余。景気動向の影響を受け易い本区の財政構造を踏まえつつも、経営資源の有効活用、及び経営の判断業務を適切に行われ、持続可能な行政運営に努められた、という認識は共通の想いである。 質問としては、特別区交付金が前年度比で15%増の212億であった。これは本区社会の“公器”であり、また構造的な計算上のベースとなる基準財政需要額(行政需要)の伸び割合が、基準財政収入額(実力収入)の伸び割合を超えてしまったのが理由との事だが。本区行政サービスの負担割合が固定的に広がってしまった、とも解釈できる訳だが、大幅に人口が増えた訳でもない中での、その理解を伺う。 次に地方消費税交付金の事で伺う。消費税が8%から10%に引き上げられたのが、令和元年の下半期であった。その結果として地方消費税交付金額そのものが大きくなり、以来定着しているのは歳入の要点である。令和元年度で凡そ49億だったものが、2年度で61億、3年度で67億、4年度で71億、5年度で70.8憶円である。今般、この地方消費税交付金の微減という事の意味をどう解釈するか?景気や物価の上昇、区税収入の増、その期待感・予測とは裏腹に、実は一般生活者の消費・財布の紐が固くなってしまっている証左ではないか?区民一般における生活実態をどの様に捉えたのか? (企画経営舞踏答弁要旨)⇒ 特別区交付金については、特別区が区政運営を行う上で必要な経費を賄う観点から都より交付されている。基準財政需要額から基準財政収入額を除いた額が普通交付金となるが、都区間協議会の中で基準財政需要額の算定や見直しは都度為されている。令和5年度は普通交付金については17億円の増となった。基準財政需要額のうち、前年度比で大きかったのが公共施設改築工事費の臨時算定であり、これは財調協議の結果積算した、普通交付金よりも法人住民税などの調整税等の財政が上回った為、臨時的に上積みする為の措置と考えられる。必要な行政需要については、これからも積極的に提案してゆきたい。 地方交付税交付金についての計上額については、税制改正等がない限り詳細な分析は行っていないが、決算額の推移に関しては堅調に推移していると思われる。特別区長会では「税収を最数消費地に帰属させる」という、本来の趣旨に沿った基準に戻すべきである事を主張している。景気動向に関しては、内閣府の「月例経済報告」からすれば、それが本区内に於いても年度内では「穏やかな回復基調」の最中であると認識した。 ○森林環境税・森林環境譲与税○ 気候変動に関して、初めて議会で私が取り上げたのは既に5年前であり、以来、様々な動きに繋がっている。排出されるCO2の約4割が家庭からという区内の実情がある中で、そもそものCO2の排出抑制を進めてゆくという“入口”の観点から、では出て来てしまったCO2をどう処理してゆくのか?という“事後”の対策に新しい一歩を踏み出そうとしている。そんな過渡期が今なのだと理解している。 決算額の方だが、本区への森林環境譲与税、つまり“入り”の方の推移は、令和元年が1088万余、同じく2年が2312万余、3年が2363万余、4年が3115万円余、5年度決算に於いても3115万余となる見込みである。区域内に森林を持たない自治体側の現実としては、どうしてもその使途としては拡大解釈してゆかなければ成り立たなかった事実は理解する一方で、今財源が地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金が活用されて来た、これまでとは異なり、令和6年度よりは、“血税”として広く国民より徴収され始めた事実を鑑みれば、条文の趣旨や、その利用・考え方を、一度整理するべくタイミングに来ていると思うが? 二つ目としては、同法の趣旨を踏まえて、7年度には「多摩の森」に770万の予算を投入するとの事である。この試みとして期待できる事としては、森林整備、カーボンオフセット、現場体験、木材利用との事。大変意義のある1歩であると思うが、では何故今「多摩の森」だけなのか?また何故このタイミングなのか?を伺う。 岡山県のとある市町村を一つの可能性ケースとして紹介申し上げると、1ヘクタールあたり50万円、当該自治体への森林整備に支援すると、その返礼として、桃やマスカット、あとミネラルウォーター等、最高品質の当該自治体の特産物が送られて来るスキームを構築しているという。つまり投資元の住民(目黒区民)に対しても、ダイレクトにメリットのある形で、森林整備を全国から呼び込もうとしている。こういったウネリを作っている自治体群のスキームに乗る、関係を構築するチャンネルは確保しておくべきと考えるが?地方の森林への投資をするのであれば、区内完結のカーボンオフセットのみで終わる事なく、その対価まで、ぜひ関与して貰いたいが?他区が手を付けていない事を先行してやる奇抜さも時には必要で、それこそ未来への投資である筈。投資をする側も、される側も“Win, Win”の関係で帰着する。そういった双方向性、費用対効果まで考えて頂きたいが如何か? ≪再質問≫ 令和4年度であれば総額で3115万余もの金額が一般財源に入っている中、使途としては、区有施設の床改修に493万、木製家具の購入が1690万、生物多様性保全林事業に729万、苗木配布に48万、八ヶ岳自然宿泊体験教室間伐体験(林業体験)プログラムに80万、郷土種育成事業 自然クラブ事業に313万円とある。5年度であればこれらに加えて、児童用木製ランドセルロッカー設置工事、木製家具購入、木製ランドセル入れの購入、砂場淵丸太等の購入、多摩産材製品の購入等。繰り返しになるが、どうしても“事後”の木材の利用、及び購入に偏ってしまっている。つまり森林の整備と、その為の人材の育成及び確保という、法律の趣旨に全く関与できていない。そういう意味で「多磨の森」への試みは、転換点となり期待する所であるが…。“区有施設の床改修“や、“木製物品の購入”等は、施設の更新や建設の予算である為、森林環境譲与税を原資として充てるのは極めて不自然である。CO2発生抑制の根幹たる森林整備と、その人材育成の目的に沿って使われているのは、ならば譲与税全体の中のどの程度なのか?この視点は慎重に検討すべきと思うが?令和7年度からは、譲与税の原資は100%が血税となる。その使途が森林整備なのか、その為の人材育成なのか、或いはこれまでと変わら木材資材の購入なのか、直感的に分かりやすい公表を願う。 (環境清掃部長答弁要旨)⇒ 森林環境税及び森林環境譲与税は、平成31年に成立し、令和6年度から個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として一人1000円を賦課徴収している。使途については、「森林の整備に関する施策」、併せて森林整備に必要な人材育成・担い手の確保、木材活用の促進や普及啓発等の「森林の整備促進に関する施策」に充てる事とされている。目黒を含め区域内に森林を持つことが出来ない自治体については「森林の整備」に活用できず、課題となっていた。一方、「多摩の森」活性化プロジェクトは、複数の自治体が参加する初の試みであり、都内に残された貴重な森林を後世に残す活動である。本区もカーボンオフセットの取り組みとして、令和7年度からこの事業を通じて、森林整備に参加する予定である。これに加えて、友好都市などとの取り組みも検討しており、議員ご提案の岡山県の自治体のモデルについてはカーボンオフセットの事業の展開の一つの先例として、検討素材として参りたい。法の趣旨も踏まえて、今後も森林整備や人材の育成、木材の活用、普及・啓発事業のバランスに配慮する。併せて公表の仕方も工夫して参りたい。 ○碑文谷公園Park-PFI○ 持続可能な公園サービスを確保・提供するという考え方のもと、“Park-PFI”なる新しい試みが模索されている。将来を見据えて、公園そのものからもサービスの対価を稼げないか?という趣旨であると理解している。この考え方、及び試行実験が始められて以降は、視察等含めて、調査・研究を行って来たが、率直に申し上げて、“Park-PFI”なる新しいコンセプトを成功裏に纏めるには、先ずは地元の理解がある事が条件であると思うが、如何か?また観光資源などの必然性に加えての利便性、遠方からでもその公園に来る動機やネタに繋がる、大型の公園にこそ有効な手法であると、先行自治体の行政マンからは共通して伺う話である。今般一つの候補として上がっているのが、碑文谷公園であるが、主に近隣の人達が日常の憩いの為に利用されていると認識する所。そもそも界隈の水田灌漑の為の“ため池”であり、中程の厳島神社には弁天立像が鎮座していらっしゃる。古くは15世紀の戦国の世から連なる、風俗と伝統を伝える神聖な場所である。ボートに乗れて、ポニーがいて、運動公園としての機能も兼ね備え、体育館は指定管理であるという、稀有な特色を持ちうる公園である。既に公民連携が行われているといえるのではないか?新しい行政テーマの場に選ばれる事は名誉であるものの、計画の目指す先としては、この公園をどの様にしてゆくとお考えか? ≪再質問≫ 近隣にお住いの方々からは、静かに過ごせる場所であったり、今ある景観や環境の維持を求めていたり、文化伝統の継承の場としたい。という声が聞こえて来る。別の側面としては、ほぼ時期を同じくして「生物多様性保全林」としての指定もされ、私もグリーンクラブに所属している都合、この“生物多様性保全林”指定との親和性は非常に高いと感じる。伺いたいのはこのPark-PFIと、生物多様性保全林指定される事の公園行政の両方向性は、コンセンサスを得づらいのではないか?という事である。意味合いとして相反してしまっているこの両方向性をどの様に整理されているのか?僅か4万平米の敷地面積である。Park-PFIを成功裏に碑文谷公園で結実する事に、現実性を見いだせているのか? ≪再々質問≫ イベント参加者や、利用者の感想を聞く事は勿論大切である一方で、環境が変わって直接影響を受けるのは古くから近隣にお住いの方々である。妥協点というか、帰着できる所はソコにしか見いだせない事は言うまでもないが如何か? (都市整備部長答弁要旨)⇒ Park-PFIについては、公園の魅力アップ、区の財政負担の軽減、新たな歳入確保策として、公民連携の取組みの一つとして検討を進めている。これは既存事業や施設運営のサービスの質を落とさずに、持続可能な施設運営の手法として有効であると考えるからである。今般の碑文谷公園だが、アンケートや利用者数調査、ヒアリング等に加えて、昨年11月には実証実験も行った。結果からすると、この様なイベント開催を求める声がある一方で、課題も認識できたので、改善に向けた検討が必要であると考える。先般6月には意見交換会も実施もしており、現在内容の取り纏めを行っている。ご指摘の「地元の理解」という点は重々承知する所。公園の持つ豊かな環境と、周辺の良好な住環境に配慮する事、これまでの利用に支障が無い様に検討を進めたく、区の考えを示して参りたい。“Park-PFI”と“生物多様性保全林事業”との整合性だが、また“サクラ生成実行計画”も含めて、エリア区分して考えており、公園の敷地が第一種低層住宅専用地域に入る事もあり、整合性を担保する事は可能と考える。引き続き、利用者や地域等の意見に耳を傾けて参りたい。
